人を喜ばせる
営業のプロであり、
子どもたちに引き継ぐ
未来の日本を見据える、
EF代表・山田亜人

マンガを使ったランディングページ制作をはじめ、ホームページや動画などの制作を通じてWebマーケティング事業を行う「EF(エフ)」。2020年に同社を立ち上げたのは、当時26歳の若き社長、山田亜人さんです。26歳での起業にこだわった理由とそこに至るまでのヒストリー、営業としての活動の真骨頂と会社代表として見据える未来を、存分に語ってもらいました。

22歳、人生を大きく変えるために遺書を書く

――EFを設立するまでのヒストリーを教えてください。

10代で建設系の現場仕事から社会人経験をスタートさせました。尊敬できる親方のもとで職人としてのキャリアを積んでいたのですが、その親方の友人で営業職の人が若いながらもしっかり稼いでいる姿を見て、営業にがぜん興味を持ったのです。すぐに転職活動をし、学歴不問だった布団の訪問販売の会社に就職しました。そこで営業の基礎を学び、自らも工夫を重ねて努力した結果、社歴2年以内の部門で月間売上1位になりました。

人生の岐路となったのは22歳で東京に出たことです。10代の頃と違い、守りたい大切な仲間や人がたくさんいたことから、ただ営業ができるだけの人間で終わりたくないという気持ちがおさえきれなくなっていました。また、父親が26歳という若さで他界していたことから、自分はその26歳の年に、人生を固めるために起業しようとも思っていました。

起業のためにはもっと強くならなくてはいけない――。日本中から人が集まる東京で、半年間と期間を決めて勝負しようと決心しました。無形商材を販売する営業会社で役職につくことを目標に掲げたのです。「仕事にだけ本気で向き合える環境にいて稼げないなら、この先お金持ちにはなれないし、だれも幸せにできない」との強い気持ちがあったため、上京した6畳一間の部屋で「半年間で結果が出なければ死んで保険金を残す」と遺書を書きました。今思うとかなり極端な行動だったと思いますが、そのときの真剣な気持ちは決して形だけのものではありませんでした。

東京のWeb制作会社で半年間、文字通り休みなく仕事に没頭し、役職者になる目標を達成。引き続き営業の腕を磨くのと並行してビジネスの勘を養い、26歳で大阪に戻ってEFを立ち上げました。

なにをしたら喜んでもらえるかを、どれだけ本気で考えられるか

――強い気持ちをエネルギーに、とんとん拍子に達成できたのでしょうか。

まったくそんなことはありません。会社ではパソコンのローマ字入力すら怪しい私を怪訝な目で見る同僚も多く、営業の仕事と並行して必死で一般常識を調べては頭に叩き込んでいました。難しいIT用語などを説明するための勉強も必要でした。本当に寝る間も惜しんで仕事と勉強に追われていました。

しかし、どれだけ努力しても、そもそもスタートラインが違いすぎるため、なかなか芽が出ませんでした。半年とリミットを決めているのに、3ヶ月経っても役職どころか受注すら取れません。先輩からは電話でのアポ取りだけ任されていたのですが、これではダメだと自分で営業も行くことにしました。そして初めての契約をいただいた瞬間、無形商材の営業のコツを掴みました。

――瞬間的に理解したのですね。どんなコツでしょうか。

「モノを前面に出すのではなく、自分を売る」ということです。畏まった言葉遣いで、スマートなスーツを着て、丁寧に洗練されたふるまいをしていたら売れると思っていた時期は、まったく結果が出ませんでした。経営者のもとにはたくさん営業担当が来ますから、他の人と同じことをしていてはダメなのです。

まずはお客様との共通点を見つけることから始めました。あえて近所で昼食を食べて「あのお店おいしいですね」、玄関先に置いてあるものを観察して「ゴルフバッグかっこいいですね」などと話題を作るのは初歩。営業先の会社の近所では、営業先の関係者が見ているかもしれないと思ってふるまいます。外食したお店で「ごちそうさまでした」、近所のコンビニで商品を受け取る際には「ありがとうございます」、すれ違う犬にまで「かわいいね」と、いつでも愛想のいい青年でいることを心がけていました。

事務所を出る際には、丁寧にお辞儀するのはもちろん、建物を出たあともビルに向かってお辞儀。営業担当が帰った後、不安材料が残っている社長は、素の営業担当を見たくなり、事務所を後にする様子を見ている可能性もあります。おもむろにタバコを吸い始めるような営業担当もいる中で、建物に向かってお辞儀をする営業担当は抜群に印象に残るでしょう。

私の場合は、父親をなくしたストーリーとその年に独立したいという夢も、おおいに語らせてもらいました。経営者は頑張っている若者を応援したいという人情に厚い人が多いので、すっと心を開いてくれることがありました。どれだけ「山田君だから買おう」と、気持ちよく思ってもらえるかを大切に行動したのです。

――徹底していますね。EFでもそのノウハウを伝授しているのですか?

ええ。しかし、こういったことは本質の理解が大切です。行動そのものを一つひとつ指示していたら膨大になりすぎてとても覚えきれるものではありません。

先日、社内で営業担当のふるまいをある程度マニュアル化できないかという話題になったときに、営業の際に気を配ることをみんなで出しあったんです。しかし、私以外からは思ったほど出てこない。駐車場に砂利が敷いてある事務所ではタイヤ痕がつかないよう砂利を戻す、雨の日には玄関が濡れないよう靴を拭いてからチャイムを鳴らす――、私だけ数え上げればキリがなく、社員からは驚かれるほどでしたが、要は相手目線でどれだけ考えられるか、なにをしたら喜んでもらえるかをどれだけ本気で考えられるか、ということです。

――実際にそういった行動から売り上げなどに繋がったこともあるのですか。

たくさんあります。起業したてのとき、どこの銀行からも融資がもらえずに途方にくれていました。私は、いつも事務所周りにいる方に元気よく挨拶することを徹底しているのですが、あるとき事務所前を歩いていたスーツの男性に挨拶したところ、その方が銀行の融資担当責任者でした。そして、後日どうしても融資をあきらめきれずに銀行に伺ったときに、その方が私を覚えてくれていたのです。「あなたなら信頼できる」とすぐに融資を決めてもらえました。無数にある一つひとつの出会いも、その相手は人間ですから、決して適当にしてはいけないと心に刻んでいます。

現代人が頑張るために良い影響を与えたい

――EFで活躍される社員はどのような人材が多いですか。

負けず嫌いで努力を惜しまない人、そして夢や信念があり軸がブレない人材は強いと思って見ています。EFの大切なメンバーは、ひとり残らず夢を叶えて幸せになってほしいと思っています。幸いにも私は自分で決めた目標を達成してきていますが、これも社員の働きあってのこと。実際に夢を叶えるのは、自分が自分の足で歩くしかないわけですが、会社がそのための環境を用意することはできます。その点EFは強力な応援団となれると思っています。

――TikTokの「朝礼社長」動画も応援団の一環としてされているのでしょうか。

そうですね。ただ、元気が出るという声をいただく一方で、昭和体質やブラック企業っぽいなど、反感のコメントもたくさんつきます。今は怒られたり、厳しく指導されたりした経験のない若者が増えているからでしょう。私も意味なく厳しくはしませんが、人生に対する当事者意識や未来への危機感をもってほしいというのは常々思っていることです。

今の常識はすぐに通用しなくなります。人口動態をみても、25年後には生産年齢人口は5000万人を切るところまで減少します。多くの高齢者を少ない人口の世代が支えていかなくてはいけない。例えば私の場合だと25年後はまだ55歳、80歳まで生きるとしても、まだその先25年あります。残されている長い人生をどれだけ心豊かに暮らしていけるか考えたら、十分な資金はもちろんのこと、どこでもやっていける仕事力や人間力も必要になってくる。立ち止まってる暇はないことはわかるかと思います。だからこそ弊社のミッションは「Rush to live, 生き急げ」なのです。

――新しいメンバーとともに、どのような未来を描きますか。

数年後には、まずEFの社員全員の年収を2000~3000万円にしたいと思っています。EFでは「自己超越欲求の解放」と呼んでいるのですが、自分の欲求が満たされた先に、本当の利他の精神が芽生えると思っています。そして、その過程でEFが頑張る姿を見て、「頑張ってみよう!」と思う人をひとりでも多く増やしていきたいと思っています。日々の仕事や生活の中で、頑張るマインドの震源地になれるような、影響力の大きい存在になりたいですね。今の子どもたちに、少しでもいい日本の社会を引き継いでいけるよう、発信し続けていきたいと考えています。


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